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いわゆるひとつの職業病

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A GREEN LIFE !

5年が経ちました。

 私が植物の仕事をするようになってから5年の月日が過ぎました。

 初めは吉祥寺の小洒落た園芸店から始まり、ごく短期間ながら造園や生花店も経験者しましたが、何だかんだで鉢物が好きだと感じ、今こうして観葉植物の専門店で働かせてもらっています。

 基本的に浮気性で飽きっぽい私が、会社は変わっているとは言え5年も同じ業界にいるのは個人的には快挙であり、例え明日お店が爆発四散して無くなろうとも(?)植物に関わる仕事がしたいなあ、と思っているほどです。

 しかし、それほど長く続けていると弊害と言いますか、困った癖、いわゆる職業病を自覚する事がよくあります。

 今回はそんな職業病についてお話させていただきます。

 もしかしたら、長く植物を育てている人であれば共感できる部分があるかもしれませんね。

グリーンな職業病

 さて、それでは私が普段から「悪い癖だな……」と思ってしまう職業病をご紹介しましょう。

1.お店に置かれてる植物が気になる……!

 ある程度経験を積めば、巷に溢れる観葉植物の種類の大体は目にした事があるものばかりになります。

 すると当然「それがいくらくらいのお値段で流通しているものなのか」も分かってしまう訳で。

アパレルでも飲食でも、とにかく入ったお店の植物の「サイズ」「種類」「樹形」でおおよその値段は分かりますし、ものによっては生産農家まで分かってしまう場合もあります。

 すると「お、このお店は気合い入ってるな」「ここの会社はお金持ってるな」とか「あ、これは何となく置いてみた感じだな?」などなど……要らぬ事ばかり頭をよぎってしまう事があります。

 個人的に、コレが置いてあったら「おっ!」と思うのが『ユッカ・ロストラータ

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 苗木を輸入する際、船に乗ってやって来るのですが、元々乾燥地帯の植物ゆえに海上の湿気で一定数が枯死してしまうらしく、どうしてもそれなりにお値段がする植物です。

 しかしながらスタイリッシュなブルーグレーの葉と、逞しい幹の姿から人気が高く、都心の大きなお店の店先に置かれている姿をよく見かけます。

 この子が店先にドーンと鎮座しているお店は、きっとそういったデザイン的な部分にもしっかりお金をかけられる良い店に違いない……!と信じていざ中を覗いてみると、あまりのオシャレオーラに気圧されることもしばしば……

2.人さまの植物の状態が気になる……!

 以前友達と遊びに行った際、1人でしばらく待たされるタイミングがありまして、その時無意識のうちに近くに置かれていた観葉植物の葉っぱをめくり、ハダニがついていないか見てしまいました。

 ハッと我に帰り余計な事をせぬようその子と距離をとりましたが、習慣というものは恐ろしいもので、どうしても普段から傷みやすい部分や土の状態、鉢皿にお水が溜まってないか見てしまいます。

 そういえば前職の園芸店で働いていた頃も、待ち合わせ中に手持ち無沙汰だったからと、駅前の花壇の花がら(※咲き終わって萎んだ花びら)を摘んでいた事がありました。

 終わった花を摘むことは長く沢山咲かせる事に必要な事ですが、知らない人が見たら完全にヤバい人だったな………と気付いて以来、例え眼前の花壇が花がらで汚くなったとしても無視するようになりました。それはもう○タリ神に憑かれたア○タカのような自制心で。

3.映画やドラマに映る植物が気になる……!

 以前映画館にて某大人気アメコミヒーロー映画を観に行った時の話です。

 シリーズ初期から映画館で見続けて来たシリーズもいよいよクライマックス……!強大な敵との熾烈な戦いの中、ヒーロー達は近くの森の中で遂にラスボスと対峙……!

 という手に汗握る展開の最中、画面にふと見覚えのある植物が見えました。

 深く切れ込みの入った大きな葉……そう、それは紛うことなく『モンステラ・デリシオーサ』でした。

 
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 いえ、それだけであればまだ気にならないのですが、よくよく見てみると生え方がおかしいのです。

 モンステラは本来つる性の植物で、同じ科のポトス同様大木の樹皮や地面を這うように伸びるはずなのですが、今スクリーンに映しだされているモンステラは地際から放射状に、これまた同じ科のシンゴニュウムのような雰囲気で地面に植えられているではないですか。しかも点々と。

 
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それに気づいた瞬間、私はスゥっと現実世界に引き戻され、先ほどまで密林だったはずの場所はどう見てもセットにしか見えず(実際セットなのですが)、戦うヒーローもコスプレをしたただのイケメンにしか見えません。一旦頭をリセットするために口にしたコーラも、水っぽくて余計に現実感を際立たせます。

 結局そんな半端な心持ちのまま、シリーズ最大級のショッキングなエンディングを消化する事も出来ず、トボトボと帰路につく事となりました。

 そんなことが気になるのは私だけかも知れませんが、そんな事が割と頻繁に起きるのです。

 シリアスなシーンで後方に植物が映っていると一瞬そちらに意識が向き、例えセクシーなシーンであったとしても、スタイル抜群の女優さんを押しのけるように植物が目に飛び込んで来る事があるのです。

 これが現代劇ならまだ良いのですが、これがSFとなると話はやや深刻です。

 異世界感、異星感を出すために鮮やかな色合いや変わった形の植物が小道具として置かれている事があるのですが、実はよくよく見ると普通の観葉植物だったりします。そういったどうでもいい情報から現実引き戻され、映画に没入できないというのは映画好きとしてはなかなか辛いものがあるのです。

 そういえば以前観たSF映画で、地球外の星にも関わらず「フリーセア」が生えている事に気づいた時は思わず笑ってしまいました。

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おわりに

 『職業""』などと、ネガティブなニュアンスで語ってしまいましたが、同時に喜びを感じている部分もあったりします。

 私は元々植物好きではあったものの育てるのが好きなだけであって、インテリアだとかデザインといったものに非常に無頓着な不良店員でした。   

 ですが植物の仕事を長く続けているうちに、何気なく訪れたお店でインテリアと植物のバランスを考えたり、テレビに映る観葉植物を見て、何故その植物を置いたのか考えてみたりと、世界の見方が少しばかり変わっていったのです。

 これはきっと植物に限らず、あらゆる職業で起こる事だと思います。
 私の友人にお父さんが道路や橋の設計士をしている男がいるのですが、そんな父親と仲が良い彼からすれば、ちょっとしたドライブも単調な電車の旅も、ロマン溢れる大冒険に変わってしまうでしょう。

 知識や経験というのは主観的な世界を大きく変える力を持っていますから、例え仕事で使う為に得た知識であっても、その知識が無ければ見えない世界もあります。当然そこで得た経験によって広がった世界で、新たに得る知識もあります。そうやて世界は広がって行き、色々な考え・見方ができるようになるんだろうなと、私はそう思います。
 だからこの職業“病”“癖”であると同時に、それはもう自分自身の生き方に組み込まれているのだと、今はそんな風に感じています。

 
 祖父の影響で飛び込んだ植物業界、これが自分の生きる道だと信じて(あるいは諦めて)
慎ましく、人の木にはみだりに触らず、人様の庭をのぞき込んだりせず、映画を見る時はちゃんと集中して、ひっそりと生きて行こうと思う師走の日なのでした。




Ys


観葉植物専門店グリーンインテリア

 

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